贈与税の申告と納税はいつまでにするの?しなかったらどうなる?

更新日

本記事は、相続費用見積ガイドの姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2018年9月18日に公開された記事を、記事執筆日(2023年3月6日)時点の法令・制度等に基づき再編集されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

贈与を受けたら「贈与を受けた人(財産をもらった人)」が贈与税を納付します。

ですが、必ず贈与税の申告を行わなければならないわけではありません。

どんな場合に贈与税を払う必要があるのか、また、それはいつまでか。贈与税を払わなかったらどうなるのか、について解説していきます。是非参考にしてください。

贈与税の申告と納税はいつまでにする?

贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。

贈与税の申告と確定申告とは違うものなので注意!

確定申告は前年の所得に対して申告する手続きです。個人から贈与を受けた場合は所得と考えませんので、贈与を受けたら贈与税の申告をします。

税金を考えるうえで、贈与とは自分の財産を相手に譲るという意味で、贈与税は相続税を補完する役割だからです。

なお、法人から個人への贈与は所得税の課税対象となります。法人は相続が発生することがなく贈与の課税もされないため、法人から個人への贈与は一次所得もしくは給与所得として処理します。

なお、確定申告は毎年2月16日~3月15日までの1か月間のあいだに確定申告書を提出します。

贈与税の申告が必要な場合

贈与税の課税対象となるのは、個人から贈与を受けた場合です。

そして、贈与税の申告を行わなければならないのは、次の場合です。

  • 暦年課税を適用する場合で、贈与の額が110万円を超える場合
  • 相続時精算課税を適用する場合

暦年課税方式とは、1月1日から12月31日までの1年間にその者が贈与された財産について課税する方式です。

相続時精算課税を選択した場合以外は、この暦年課税方式によって課税されます。

暦年課税方式の場合は、毎年110万円の基礎控除枠が設定されているため、1年間に贈与を受けた額の合計が110万円以下だった場合は、贈与税はかからず、申告も不要です。

相続時精算課税とは、親や祖父母から贈与を受けた場合に、贈与者1人につき贈与を受けた財産の価額が累計で2500万円に達するまで贈与税を非課税にし、代わりに相続時に相続税の課税対象とする制度のことです。

相続時精算課税を選択した場合は、2500万円までは贈与税は非課税になりますが、暦年課税制度の基礎控除枠が使えなくなってしまうため、贈与を受けた年は毎年申告が必要です。

ただし、この相続時精算課税制度については令和5年に改正がされる予定です。

贈与税の申告方法

贈与税の申告方法には次の3つがあります。

  • 税務署に持参して直接申告する
  • 郵送で申告する
  • 「国税電子申告・納税システム」(e-Tax(イー・タックス))で申告する
  • 税理士に依頼して申告する

申告は、受贈者の住所地を所轄する税務署宛に行います。

申告書は税務署で入手できますが、インターネットでダウンロードしたものを使うことができます。

贈与税の申告をしなかった場合

贈与税の申告をしなかったことは相続税の申告漏れとして税務調査で指摘を受ける可能性が高いでしょう。

タンス預金でコツコツ貯めたヘソクリを贈与して、受贈者もタンス預金をした場合は、バレない可能性もあるかもしれませんが、バレないとしても違法行為なので、まったくお勧めできません。

タンス預金は、盗難や火災、自然災害で失ってしまうリスクもありますので相続税対策でタンス預金をされている方は「【事例】タンス預金は相続税対策になりますか?(53歳女性 資産1億7,000万円)【税理士執筆】」記事をご参照ください。

贈与税の申告漏れのうち、金銭の場合は、相続税の調査の際に生前贈与の申告漏れが発覚することが多いです。

例えば、所得等から想定して相続税の基礎控除額以上の遺産を持っているはずの人が亡くなった後、相続人が相続税の申告をしなかったり、想定されるよりも過少な申告内容だったりした場合に、相続税に対して税務調査が入ります。

税務調査では、過去10年間分程度の銀行口座の履歴が調査されます。

銀行口座の履歴調査によって、過去の出金が洗い出され、生前贈与があったことが発覚することがあるのです。

不動産の場合は、所有権移転登記(名義変更)を行うことによって、税務署にも贈与があったことが分かります。

相続税の申告漏れや納税不足にはペナルティ

贈与税の申告漏れが発覚すると、余計に税金をかかってしまったり、刑事罰を受ける可能性があります。

余計にかかる税金には、加算税と延滞税の2種類があります。

申告も納付も適切でない場合は両方が課せられます。

適切な申告をしたものの、納付をしなかった場合は延滞税が課せられます。

延滞税

贈与税の納付期限に遅れて納税した場合に課せられる利息的な意味合いの税金です。

延滞税は、世の中の金利とも連動して変動します。上限値でいうと、納付期限から2か月以内が7.3%、それ以降が14.6%です。

加算税

加算税には、次の4つの種類があります。

  • 無申告加算税
  • 過少申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

このうち不納付加算税は、申告ではなく納付に関係する加算税で、源泉所得税に関するものなのですが、贈与税とは関係がないので、ここではそれ以外の3つについて説明します。

  • 無申告加算税:贈与税の申告期限までに申告、納税しなかった場合
    • 税率は、新たに納めることになった税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。無申告加算税:贈与税の納期限までに申告、納税しなかった場合
    • 本来納付すべきだった税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。
  • 過少申告加算税:贈与税の申告期限までに申告、納税したものの、納税額が不足していた場合
    • 税率は、新たに納めることになった税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。
  • 重加算税:贈与税の納税を逃れるため、仮装隠蔽行為(かそういんぺいこうい:本来あるものを隠したり、無いものを捏造したりすること)をおこなった場合
    • 無申告の場合が40%で、過少申告の場合が35%と大変重くなっています。

刑事罰

贈与税を脱税すると、前述の重加算税や延滞税が課せられるだけでなく、裁判で有罪となった場合には、懲役や罰金が科せられる可能性があります。

法定刑は、故意に税を免れる意思があり申告しなかった場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が、故意に税を免れる意思はなかった場合でも1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

まとめ

贈与税の申告は不慣れな方にとっては気の重い作業でしょう。面倒で後回しにしていた結果、申告期限を過ぎてしまうとペナルティを受ける懸念もあります。

記事を読んでもわからないことは、税理士や税務署にご相談ください。

 

今すぐ一括見積もりをしたい方はこちら

STEP1 お住まいの地域から探す

付近の専門家を探す

STEP2 見積り内容を選択

わかる範囲で構いません

※司法書士、行政書士、税理士など、対応可能な士業から見積が届きます