不動産の換価分割のメリット・デメリット、相続税・贈与税・譲渡所得税はどうなる?

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2023年2月2日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
換価分割のメリット・デメリット
不動産の換価分割のメリット・デメリット、相続税・贈与税・譲渡所得税はどうなる?

遺産分割の方法のひとつに「換価分割」という方法があります。


これは、分割対象である遺産を売却して金銭にかえてから共同相続人間で分割するというものです。



不動産を換価分割する方法は1つではなく、換価と分割のどちらを先に行うか?換価のための売却を誰の名義で行うかなど、状況によって考える必要があります。



この記事では換価分割についてのメリット・デメリットや具体的な換価の例、関係する税金について詳しく説明します。

換価分割とは

換価分割とは遺産分割において、分割対象である遺産を売却して金銭にかえてから共同相続人間で分割するという方法です。

換価分割のメリット

換価分割は以下のようなメリットが考えられます。

  1. トラブルになりにくい
  2. 不要な不動産を処分できる
  3. 遺産分割の調整がしやすい
  4. 納税資金を調達できる

一つずつ解説していきます。

1.トラブルになりにくい

現金に換金してから分けるため「物」で分けるよりも不公平が生じることがなく、金額に納得して分けるのでトラブルになることもありません。

2.不要な不動産を処分できる

遺産である不動産が共同相続人らの居住地から離れた地方に存在する場合など、共同相続人の誰もが取得することを希望しないというケースでは、換金してから分割することが納得感が高いでしょう。

3.遺産分割の調整がしやすい

換金した現金の配分額で相続分を簡単に調整できます。

4.納税資金を調達できる

相続税の納税資金を持っていない場合であっても、換価分割で資金調達が可能となります。

換価分割のデメリット

換価分割のデメリットとして贈与税を課税される危険があります。これを回避するために遺産分割協議書を作成する際に「換価分割であること」や単独の相続登記をした場合※は「換価の便宜に過ぎない」ことなどを明記しておくことが重要です。(※単独の相続登記については後述の換価分割の例で詳しく説明しています)

また、換価分割の場合は譲渡所得税を支払わなくてはならず、相続税のと二重の課税になるおそれがあります。それを回避するため、譲渡所得税については納付済みの相続税を取得費として加算することが認められていますが、相続税申告期限から3年以内という時間制限があります。

これらのデメリットを被らないように、換価分割を考えている場合は一度専門家に相談してみましょう。

税理士と無料相談を希望される場合は「いい相続」へご連絡ください。無料で税理士をお探しいたします。

換価分割の考え方

換価分割は換価と分割のどちらを先に行うか?換価のための売却を誰の名義で行うか?などをを考える必要があります。

換価分割を分類するための特徴的な例を4つあげていきます。

換価を先におこなう例

遺産の土地が複数あるが、代償金を支払う資力のある相続人がいない場合、まず遺産の土地の一部を換価して、遺産を「土地+現金」としたうえで、その遺産分割協議を行った。

この例は、遺産を売却して換価した後に、その代金の分割割合を決めたので、換価先行型と言えます。

分割割合を決めておいてから遺産を換価する例

遺産が1筆の土地しかない場合や全部の遺産を処分してしまう場合のように、現金の配分だけで決着をつけた。

この例は、先に代金の分割割合を決めておいてから遺産を換価したので、分割先行型と言えます。

このケースでは譲渡所得税に注意が必要です。

共有名義で相続登記してから換価する例

すぐに売却できそうで、法定相続分で分割する話し合いもついたが、自分も名義に入っておきたい、といった慎重な相続人がいるため、相続人全員の相続登記をおこなった。

この例は、法定相続分による共有名義での相続登記を行い、その登記名義のまま換価するケースなので共有登記型と言えます。

相続人の1人を相続登記してから換価する例

買主が、売主の負担する責任が多数人に分散することを嫌って、相続人の複数人のうちの誰かを売主とするよう希望した。

この例は、共同相続人のうちの1人の名義とする単独の相続登記をしてから換価するので、単独登記型と言えます。このケースは贈与税を課税されないため遺産分割協議書の記載方法が重要です(詳細は後述の換価分割と税金参照)

このように、4つの型があり、さらに「換価と分割のどちらを先に行うか」「換価時の登記名義をどうする」か2つに分けることができます。

  • 換価と分割のどちらを先に行うか
    • 換価先行型
    • 分割先行型
  • 換価時の登記名義をどうするか
    • 共有登記型
    • 単独登記型

換価分割と税金

遺産相続で所得税がかかる場合

換価分割をした場合、税金についてなにか注意すべきことがあるのか気になるところです。相続に関係してくる3つの税金について説明していきます。

相続税

高値で売却できた場合、相続税が増えてしまうかもしれないという心配をする方もいるでしょう。

相続税は、相続開始時点における相続財産の評価額に基づいて計算されます。

相続開始時点よりも後に、価値が上昇したり、高く売れたりしても相続税に影響はありません。

贈与税

相続人の1人を相続登記してから換価する例の単独登記型では、

「単独登記をした名義人が遺産の売主となり代金を受け取り、その代金を後に他の相続人に配分するのだから、これは贈与に該当してしまい、贈与税がかかるのではないか?」という疑問がわく方もいるでしょう。

これについては、国税庁のホームページには、単独の相続登記が換価のための単なる便宜であって、その代金が実際に遺産分割協議や遺産分割調停の内容に従って実際に分配されたなら贈与税の問題は生じないとしています。

ただし、贈与税を課税されないためには、遺産分割協議書に、換価分割を行うことと換価した売却代金の分配割合を明記することが重要です。

代償分割の遺産分割協議書の書き方は「【代償分割】遺産分割協議書の書き方、記載例、雛形まで徹底解説【行政書士監修】」で詳しく説明しています。

譲渡所得税

換価分割では、譲渡所得税がかかります。

また、相続によって相続税がかかる方については、相続税の申告方法に注意が必要です。

相続税の納付期限から3年以内の換価であれば、支払い済みの相続税のうち、換価した財産に相当する金額は、譲渡所得税の計算において取得費に加算されますが、相続税申告期限から3年以内という時間制限があります。

また、分配方法は原則として各人がその法定相続分による申告をすることが必要とされています。

他にも、譲渡所得税を申告する際に、節税効果のある「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を利用できる場合があるため、これらを知らずに申告することのないよう、換価分割を選択するときは、一度専門家に相談することをおすすめします。

もっと相続に関係する相続税や所得税について知りたい方は「遺産相続で所得税がかかるケース|相続税と所得のります・違いをわかりやすく」を参照してください。

まとめ

換価分割のメリット・デメリットと相続税・贈与税・所得税などの関係について説明してきました。

換価分割には「遺産分割の調整がしやすくトラブルになりにくい」「不動産を売ることで納税資金が準備できる」というのようなメリットがあります。

しかし、換価分割の方法によっては、税金対策をする必要があるかもしれません。

換価分割を選択する際、相続登記もすることになりますので、相続手続き全般について専門家に依頼してみてはいかがでしょうか。

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年2月2日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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