未登記建物は相続できる?固定資産税は払う?手続きまで解説!
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相続が発生し、不動産を相続することになったとき、その建物が未登記だとわかったらどうしたらよいでしょうか?このように登記されていない建物を「未登記建物」といいます。
実は、そのような場合はすぐに登記をしないと、建物の所有権を失ってしまうおそれがあります。
どのような登記が必要か、税金などはどうすればよいでしょうか。
この記事では、未登記建物を相続したとにの考え方についてわかりやすく説明します。
未登記建物とは?
未登記建物とは、登記登録がされていない建物のことです。登記とは土地や建物の所在地や所有者を登録して管理するもので、通常、不動産を取得してから1か月以内の登記が義務付けられています。
この登記をしないと不動産登記法の違法となり、10万円以下の過料の対象となります。
未登記のパターン
実際の未登記建物は昭和以前の古い建物が多く、家全体が未登記であったり増築部分が未登記、未登記のまま所有者が亡くなっているパターンなどがあります。
固定資産税は払っていたのに未登記なのはどうして?
役所は現地調査などで建物の存在を確認し課税します。未登記家屋は固定資産補充課税台帳に登録された所有者が納税義務者となるため、未登記でも固定資産税の納税通知書は送られてきます。
登記の管轄と税金の管轄が違うので「登記をしていないが固定資産税は払っている」ということはありえることなのです。
未登記はどうやってわかる?
未登記だと気が付くのは、不動産売買や相続手続きの場合に初めて書類を確認し、未登記建物であることが判明するのがほとんどです。また相続手続きのために遺産を調べていたところ、未登記だと発覚することもあります。
未登記建物がどうかを調べる方法は、法務局へ行き建物の登記がされているかを確認するのが一番確実です。
身近な確認方法としては、毎年4月から6月頃に届く「固定資産税納税通知書(または固定資産税・都市計画税の課税明細書)」の家屋番号が空欄であれば未登記であることがわかります。
未登記建物については「未登記建物とは?相続する場合の遺産分割協議書の書き方と未登記建物の5つの問題点【行政書士執筆】」も参考にしてください。
未登記建物は相続できる?
登記しないと相続できない、ということはありません。しかし相続をして登記していないと、建物を自分のものだと主張することができませんし、その他にもデメリットがあります。
未登記建物のデメリットは?
以下のようなデメリットがあげられます。
- 金融機関から融資を受けられない
- 建物が建つ土地の特例措置が受けられない
- 所有権を第三者に対抗できない
- 相続登記ができない
- 売却しづらい
- ペナルティを受ける
金融機関から融資を受けられない
未登記建物には抵当権を設定することができないため担保にすることができず、金融機関からの融資を受けることができません。
そのため、未登記建物を購入したい人がいても、住宅ローンを組むことができません。ただし現金で一括購入なら可能です。
建物が建つ土地の特例措置が受けられない
住宅が建っている建物であれば、土地の固定資産税や都市計画税には住宅用地に対する特例措置や負担調整措置が適用されます。土地の固定資産税は最大6分の1、都市計画税は最大3分の1まで軽減が可能です。
ただし未登記建物にはこの特例が適用されません。市区町村がこの建物を把握していないからです。
所有権を第三者に対抗できない
未登記建物の場合、その建物の所有権を第三者に主張することができません。
第三者が所有する土地の上に未登記建物が建っている場合、建物そのものの所有権だけでなく、土地の貸借権についても底地所有者に権利を主張できなくなってしまいます。
相続登記ができない
未登記建物の相続は有効ですが、未登記建物そのままでは相続登記はできません。
売却しづらい
未登記建物を売却することは不可能ではありませんが、現実的に買手が見つからず売却できない可能性が高いです。
理由としては、未登記建物は固定資産税の軽減措置が適用されない恐れや住宅ローンを組めないなどのデメリットがあるからです。
ペナルティを受ける
前述のとおり、表題登記をしていないと10万円以下の過料の対象となります。
未登記のメリットは?
登記費用がかからないことがメリットのように感じるかもしれません。
しかし、表題部の未登記はそもそも不動産登記法164条の法律違反で罰則を受けるおそれがあります。
また、所有権の移転である相続登記はいままでは罰則はありませんでしたが令和6年4月1日から義務化されています。不動産を取得した相続人は、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
登記費用の節約というメリットは結局はデメリットだと言えるでしょう。
未登記建物の相続はどうすればいい?
未登記建物とはいえど、被相続人の相続財産に変わりはありません。相続財産に含まれる以上、遺産分割協議の対象となるので、分割する財産の中に未登記不動産も盛りこみます。
①遺産分割協議書に未登記建物を相続することを明確に記載する
相続財産に未登記建物が含まれる場合、遺産分割協議書には登記簿謄本のかわりに、固定資産記載事項証明書や名寄帳に記載されている内容をもとに、所在・種類・構造・床面積など必要な項目を記載します。
また未登記建物として相続する旨を必ず記載します。これにより、誰が未登記建物を相続するのかが相続人間で有効となります。
②登記をする
未登記建物は、表題登記と所有権移転登記(相続登記)が必要です。
表題登記
登記簿は、不動産の所在・構造・床面積など物理的な情報を記載している「表題部」と、不動産の権利に関する事項を記載「権利部」に分かれます。
表題部を登記しないと権利部を登記できません。
権利部登記
権利部は不動産の権利関係を示します。この建物の所有者が記載されます。
登記は自分でもできますが、かなり専門的で難しい部分があるため、未登記建物は専門家の力を借りた方が良いでしょう。
③市区町村の資産税課等担当窓口へ届け出る
未登記建物の所有者は法務局では把握できていないため、申請しないと所有者の変更ができません。
遺産分割協議書の写し(または未登記家屋所有者変更届同意書)等や相続関係を証明する書類などが必要となるため、準備する書類等は届け出る自治体へ確認しましょう。
まとめ
今回は未登記建物について解説しました。
未登記建物を他人事だと思わず、固定資産税の納税通知書が届いたら、一度、ご自身の所有建物や相続した建物に家屋番号が記載されているか確認しましょう。
また未登記建物でなくても、不動産を相続したら相続登記の手続きが必要です。相続登記は義務化されているので、速やかにおこなうようにしましょう。
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