【代償分割】遺産分割協議書の書き方、記載例、雛形まで徹底解説【行政書士監修】

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2024年10月15日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
代償分割の遺産分割協議書の書き方
【代償分割】遺産分割協議書の書き方、記載例、雛形まで徹底解説【行政書士監修】

遺産のほとんどが不動産というケースは相続においてよく見られます。不動産が分割しにくい財産であることから最も揉めやすいケースの一つです。

特に、不動産を共有(共同で所有すること)状態で相続してしまうと、相続人の代だけでなく、相続人の子の代まで共有状態が続く可能性があり、後々のトラブルにつながりかねません。

そのような場合に、「代償分割」という方法を利用して、円滑に遺産分割を進める方法があります。ここでは、代償分割の遺産分割協議書の書き方、記載例についてご説明します。

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この記事はこんな方におすすめ:
「代償分割の遺産分割協議書について知りたい人」

この記事のポイント:

  • 代償分割とは、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式
  • 贈与税が課税されないように、遺産分割協議書には代償分割の旨を記載する必要がある
  • 遺産分割協議書の作成に不安のある方は、行政書士などの専門家に依頼すると安心

この記事の監修者

行政書士関野事務所

関野 貴洋

〈特定行政書士〉

相続特化した事務所に勤務後、行政書士事務所を開業。相続を専門に培ってきた知識でお客様に寄り添い、より良い相続となるようなご提案・ご提供をしていきます。また、相続以外にも生前対策として遺言等についても力を入れています。

代償分割とは?

代償分割とは、現物分割によると、法定相続分どおりにうまく分割できない場合等に、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式のことです。

代償分割は、遺産が分けにくいような場合に適しています。

例えば、遺産の大部分が不動産の場合、不動産を共有にすると、後で売却するかどうか等の点について相続人の間で揉める可能性があるため、それを避けるために、相続人の一人が相続する代わりに、他の相続人には代償金を支払うというような場合です。

換価分割

換価分割とは、遺産である不動産を売却して、その売却金を相続人間で分割する方法です。 公平な遺産分割が可能となります。

代償分割と換価分割の違いは、相続の時点で不動産を売却するかどうかという点にあります。また換価分割では相続税に加え、売却代金によっては譲渡所得税を支払わなければならない可能性もあります。

現物分割

遺産分割の方法には代償分割と換価分割のほかに、現物分割という方法があります。

現物分割は1つひとつの財産について、誰が取得するか決める方法です。現物分割はわかりやすく簡単であるため、多くの場合に利用されます。

ただし、公平な遺産分割ができないというデメリットがあります。不動産の評価額は個々で異なるためです。相続人全員が了解しているケースに限られます。

代償分割であることを遺産分割協議書に記載する意義

遺産分割協議書において、代償金について記載をするのは、万が一その約束が守られなかったときに備えておくという目的に加え、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかってしまうのを防ぐためという目的があります。

代償分割においては、相続人間で代償金の受け渡しが行われますが、遺産分割協議書に代償金についての記載がないと、その金銭の受け渡しが贈与と認定されて贈与税が課税されてしまうことがあるのです。

代償分割の遺産分割協議書の書き方、記載例

代償分割の遺産分割協議書は、次のように記載します(あくまで一例です)。

1.甲は、以下の遺産を取得する。

(1)土地
   所  在   東京都△△区〇〇
   地  番   ○○番○○
   地  目   宅地
   地  積   ○○.○○平方メートル

(2)建物

所  在  東京都△△区〇〇 ○○番○
   家屋番号  〇〇番〇
   種  類  居宅
   構  造  木造瓦葺2階建て
   床面積   1階部分 〇平方メートル
         2階部分 ○平方メートル

(3)動産

上記(2)の建物内にある家具家財等一切の動産

2.乙は、以下の遺産を取得する。

(1)預貯金

   〇〇銀行〇〇支店 
   普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
   口座名義人 〇〇〇〇

3.甲は、第1項に記載の遺産を取得する代償として、乙に対し、金○○万円を令和○年○月○日までに支払う。

代償分割の遺産分割協議書の雛形

上記の文例は、代償分割に関係する部分を抜粋したものですが、この前後も含めた代償分割の遺産分割協議書の雛形は、以下のとおりです(あくまで一例です)。

遺産分割協議書(記入例)

被相続人 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)
死亡日  令和〇年〇〇月〇〇日
本籍地  東京都△△区△△〇丁目〇番地〇
最終の住所地 東京都△△区△△〇丁目〇番地〇

被相続人〇〇〇〇(以下「被相続人」という。)の遺産相続につき、被相続人の妻〇〇〇〇(以下「甲」という。)、被相続人の長男〇〇〇〇(以下「乙」という。)、被相続人の長女〇〇〇〇(以下「丙」という。)の相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに遺産分割の協議が成立した。

1.甲は、以下の遺産を取得する。
(1)土地
   所  在   東京都△△区〇〇
   地  番   〇〇番〇〇
   地  目   宅地
   地  積   〇〇.〇〇平方メートル
(2)建物
   所  在  東京都△△区〇〇 〇〇番〇
   家屋番号  〇〇番〇
   種  類  居宅
   構  造  木造瓦葺2階建て
   床面積   1階部分 〇平方メートル
         2階部分 〇平方メートル
(3)動産
   上記(2)の建物内にある家具家財等一切の動産

2.乙は、以下の遺産を取得する。
(1)預貯金
〇〇銀行〇〇支店 
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇

3.甲は、第1項に記載の遺産を取得する代償として、乙に対し、金○○万円を、丙に対し金○○万円を、それぞれ令和○年○月○日までに支払う。

以上のとおり、甲乙丙相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証明するため、本協議書を3通作成し、甲乙丙相続人全員が署名押印のうえ、各1通ずつ所持する。

令和〇年〇月〇日(作成日の日付)
住所     東京都△△区△△〇丁目〇番地〇
生年月日      昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人甲(妻)      〇〇〇〇  実印

住所   神奈川県〇〇市△△町○丁目○番地○
生年月日      昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人乙(長男)     〇〇〇〇  実印

住所    埼玉県〇〇市〇〇町○丁目○番○号
生年月日      昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人丙(長女)      〇〇〇〇 実印

代償分割のよくある質問

代償分割についてよく聞かれる質問を集めました。

代償分割とは何ですか?

代償分割とは、現物分割によると、法定相続分どおりにうまく分割できない場合等に、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式のことです。

代償分割はどのような時に選択されますか?

例えば、遺産の大部分が不動産の場合、不動産を共有にすると、後で売却するかどうか等の点について相続人の間で揉める可能性があるため、それを避けるために代償分割が行われます。

どうして代償分割であることを遺産分割協議書に書くのですか?

遺産分割協議書において代償金について記載をする理由は、万が一その約束が守られなかったときに備えておくという目的に加え、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかってしまうのを防ぐためという目的があります。

まとめ

以上、代償分割の遺産分割協議書について説明しました。

代償分割の遺産分割協議書は、前述のとおり、書き方を間違うと、代償金に贈与税が課されるおそれがあります。そのようなことにならないように、専門家に作成を依頼することをおすすめします。

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