相続税申告を税理士に依頼した方がいい理由と自分でするときの注意点

更新日

本記事の内容は、原則、記事執筆日(2023年3月30日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

相続が発生して相続税がかかる人は、被相続人(死亡者)数の割合の約9.3%です。

つまり、亡くなった人100人のうち、約9人の相続財産は相続税課税対象となっています。

相続税の申告をしなくてはならない場合、自分で申告をすれば費用は最小限で済みます。

それなのに、税理士に申告を依頼する人は、 費用なんて気にならないお金持ちだからでしょうか? 数えきれないほどの遺産を相続するからでしょうか?

もちろん、そういう理由の方もいらっしゃるでしょうが、もっと違う理由があるようです。

この記事では相続税申告を税理士に相談した方がいい理由と自分でするときの注意点について解説します。

相続税とは?

相続税とは、わかりやすく簡単にいうと、亡くなった人から、もらい受けた財産にかかる税金のことです。

なぜ、もらい受けた財産に税金がかかるのでしょうか。

相続税がある理由

相続で得た財産は「偶然の富」と考えられています。その富を分配(富の再分配・所得再配分)することで公平性を保つために相続税が課せられます。

もっとわかりやすく表現すると、

相続税がなかったら、お金持ちのお金は、代替わりしても、そのまま丸ごと引き継がれることになり、お金持ちの家系は未来永劫お金持ちのままということになりかねません。

それだと少しずるい気がするので、代替わりするごとに相続税として一部を徴収して、みんなのために使いましょうというのが相続税の趣旨です。

贈与税は相続税の補完機能の国税

「相続税がかからないように」と、生前に財産を全て贈与してしまったらどうでしょうか?

贈与をすると一定の額を超えると贈与税がかかります。贈与税には、相続税を納めるのを避けるために生前に財産を分けてしまうことを防ぐねらいがあります。

しかし、高齢化が続く昨今、高齢者の財産が若い世帯に移るのが遅くなっています。そこで、早めに若い世帯に資産を移せば経済の活性化が図れるのではないかという考え方から、贈与をすることで節税効果が期待できる制度が設けられています。

相続税は全員にかかるわけではない

相続税は全員にかかるわけではありません。

上の方で書いた通り、相続税はお金持ちのお金をみんなに還元するためのものなので、お金持ちでない人からはとらないのです。

具体的には、財産が、「3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」以上ないと、相続税はかかりません。

これを、相続税の「基礎控除」といいます。

法定相続人というのは、法律で決められたルールにのっとって相続人(財産を相続する人)となる人のことです。

例えば、太郎さんの法定相続人が、妻の花子さん、長男の一郎さん、次男の二郎さんの三人だった場合の基礎控除額は、「3000万円 + 600万円 × 3人 = 4800万円」ということなります。

太郎さんの財産は一億円だったとき、4800万円より多いので、太郎さんの財産には相続税がかかることになります。

ただし、一億円に丸ごと相続税がかかるわけではなく、財産の額から基礎控除額を差し引いた残りの額、つまり、「1億円 − 4800万円 = 5200万円」に対して、相続税がかかります。

つまり、基礎控除以内の相続財産の額であったら相続税はかからないのです。

相続税の申告は税理士に依頼した方がいい理由

相続を開始してから税理士に相談したいと思うタイミングはどんなときでしょうか。おそらく以下のような疑問が思い浮かんだ時だと思います。

  1. 相続財産はどんなものをいうのか
  2. 相続税申告の対象になるか
  3. 相続税申告はどうやるのか

以下に詳しく見ていきたいと思います。

1.相続財産はどんなものをいうのか相談したいとき

相続税の申告および納付の期限は「相続開始の翌日から10ヵ月後」なので、相続財産を早急に確定させる必要があります。

相続税の対象となるのは、預金や不動産などのいわゆる財産だけでなく、被相続人が亡くなることで受け取る保険金や、借金、ローンなどの負債なども含まれます。

また、相続開始から3年以内に贈与された財産も含める必要があります。(※令和5年4月の税制改正では3年から7年に変更される予定です。詳細は「令和5年度税制改正の生前贈与加算と相続時精算課税・暦年贈与の節税方法を解説」を参照)

相続財産の調査に関してはできるだけ自分たちで行う必要がありますが、葬儀や49日、納骨、香典返しの手配など、することがたくさんあるので想像以上に時間がありません。

もし、相続財産の中に不動産や高価な骨とう品や絵画など、鑑定が必要となるものがあれば、どうしたらよいのか迷うこともあるでしょう。

相続財産について詳しく知りたい方は「相続財産と相続税の課税対象になるもの・ならないもの|積極財産・消極財産とは?」をご覧ください。

2.相続税申告の対象になるか相談したいとき

相続財産の調査が完了したら、相続税がかかるかどうかを計算しなくてはなりません。

基礎控除以内の金額でしたら申告の必要はありませんが、ギリギリの場合などは本当に大丈夫だろうか?と不安になりますし、また、基礎控除を超えてしまったら、納税額を減らせる方法はないのか?と知りたくなる人もいるでしょう。

3.相続税申告はどうやるのか相談したいとき

相続税申告をする必要があるとき、申告書を入手しますが、さまざまな書類を添付する必要があります。申告書の記載方法は合っているか?書類の不備はないか?と不安になる人も少なくないでしょう。

以上のような不安にかられたときが税理士に相談したいと思うタイミングではないでしょうか。

実際、相続に精通した税理士なら瞬時に適格なアドバイスをくれるでしょう。

税理士に依頼してしまえば自分でインターネットで検索して調べたり、本を買ったり、何度も税務署に聞きにいったりすることもしなくて済みます。調べた後も、本当にこれでいいのか・・・?という新たな不安を抱えることもありません。

これが税理士に頼む大きなメリットの一つです。

相続に強い税理士に依頼するとメリットが多い

冒頭で説明したとおり、相続税は全員にかかるわけではありません。

相続税がかかるとわかり、申告を税理士に依頼したいと思ったとき、税理士を選ぶのにも注意が必要です。

すべての税理士が相続に精通しているとは限らないからです。

相続に強い税理士なら、以下のような検討をしてくれるでしょう。

  1. 適用できる特例があるか
  2. 2次相続を意識

1.適用できる特例があるか

相続税には税額を抑えられる特例や控除が多く用意されています。

例えば配偶者であれば、1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い金額までの財産額なら相続税がかからずに相続できます。また、相続人が未成年である場合の特例や、所有している土地が小規模宅地等の特例などを最大限に活用すれば、相続税を大幅に減らせる可能性もあります。

2.2次相続を意識

夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者と子どもがおこなう1度目の相続のことを「1次相続」、さらに配偶者も亡くなり子どもがおこなう2度目の相続のことを「2次相続」といいます。

1次相続で納税額を抑えることに気を取られすぎたせいで、2次相続時にかえって多くの相続税がかかり、トータルで考えると損をしていた、という場合もあるのです。

相続に強い税理士に依頼すれば、2次相続時の相続税まで見越した遺産分割が提案可能です。

自分で相続税申告するときの注意点

相続税の申告は税理士に依頼するのが一般的ですが、相続人本人が行うことも可能です。以下に注意点をご紹介します。

評価が難しい相続財産があるとき

不動産や非上場株式などの評価が難しい相続財産があるときは、税理士に依頼するのがおすすめです。正しく評価してもらうことで評価額が下がり、税額が抑えられることもあります。

申告書の計算ミスや添付書類を間違えないようにする

税務署は、提出された申告書に誤りや不明な点があったときなどに、税務調査を行います。

申告書の記載間違いや添付書類の不足があった場合、何らかの申告漏れがあるだろうと判断されて対象になりやすくなります。

申告期限を守る

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(相続開始日、通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヵ月以内に行わなくてはいけません。

申告期限を過ぎてしまうと延滞税が発生するため、相続税の申告準備は早めに進めましょう。

特例を活用して相続税額が0円になったとき

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を活用して相続税額が0円になった場合は申告が必要なのでご注意ください。

まとめ

相続税申告は税務申告の中でもとりわけ複雑で、一般の人が自分でやろうとしても途中で挫折することが非常に多い手続きといえます。

しかも、申告期限が相続開始を知ってから10カ月ですので途中までやって税理士に引き継ぐようなことになれば期限に間に合わず、延滞税などがかかってしまうおそれがあります。

相続税申告を頼みたいけれど費用が不安、という方は見積りを取り寄せてみてはいかがでしょうか。

相続費用見積ガイドでは、複数の税理士から無料で見積りを取り寄せることができます。

是非ご活用ください。

今すぐ一括見積もりをしたい方はこちら

STEP1 お住まいの地域から探す

付近の専門家を探す

STEP2 見積り内容を選択

わかる範囲で構いません

※司法書士、行政書士、税理士など、対応可能な士業から見積が届きます