相続財産調査とは?費用や方法、専門家へ依頼したほうが良い場合など徹底解説
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身内が亡くなったとき、遺族は悲しみに浸る間もなくさまざまな業務に追われます。葬儀などが一通り終わった後に、やらなければならないのが、相続に関する手続きです。
このためには誰がどれだけ相続するのか、相続税はいくらになるのか計算するために、まずは相続財産調査をして故人の遺産がどれだけあるのかをきちんと把握しておくことが重要です。
今回は、相続財産調査について、相続財産の調べ方や専門家への依頼の仕方、費用など、役立つ情報をご紹介します。
相続財産をきちんと把握できていないと、後から大きな資産が見つかって相続税の申告漏れになったり、反対に大きな負債が見つかっても相続放棄が間に合わなかったり、相続人が大きな不利益を被る可能性もあります。
目次
相続財産の調査とは
相続財産調査とは、相続が発生した際に、故人の遺産がどのくらいあるのか、被相続人の残した相続財産を調べる調査のことです。法定相続人の相続分を算出するためにも、相続財産が全体でどのくらいあるのかをしっかりと調査する必要があります。
- 亡くなった父親と離れて暮らしていて、何をどれだけ持っているかわからない
- 叔父が亡くなり、代襲相続をすることになったけれど、財産をまったく把握していない
- 遺言書はあったけれど、相続財産の詳細がわからない
など、相続が開始する際に、故人の相続財産がいくらになるのか把握していない場合には、まず相続財産の調査をおすすめします。
相続財産の全体をきちんと把握できていないと、例えば相続開始から3ヵ月経過した後に大きな負債が見つかった場合など、相続放棄ができず、相続人が大きな不利益を被る可能性もあります。反対に後から不動産など大きな資産が見つかった場合には、申告漏れや納税不足による利息や制裁が課される可能性もあります。
こうした事態を避けるためにも、銀行の預貯金、株などの有価証券、生命保険の保険料、土地や建物などの不動産などの貨幣価値のあるプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローン、未払いの税金などのマイナスの財産についてもしっかりと相続財産調査をおこない、把握します。
相続財産調査は、個人で行える場合もありますが、保有している財産が多岐にわたる場合は、調査もれが生じないように、専門家に依頼したほうが良いケースもあります。
相続財産の調査が必要な理由
何のために相続財産調査が必要なのか、その大きな理由としては、以下の2つが挙げられます。
- 遺産分割協議で、相続財産を元に相続分を決めるため
- 相続税の申告のために必要だから
この両方の側面から、相続財産の目的についてご紹介します。
相続財産調査の目的1 遺産分割協議
法定相続分を算出するためには、相続財産の調査をして、相続財産を特定することが重要です。そのあと、相続財産を法定相続人の間でどのように割り振るか、遺産分割協議で決定します。
遺言書がある場合で、遺留分などが侵されていない場合は、その指定通りの配分で相続財産を分配します。遺言書がない場合は、民法で決まった配分で分配するのが一般的です。
相続財産の分割方法は、以下の4つのやり方があります。それぞれメリット・デメリットを見ていきましょう。
相続財産の分割方法
現物分割
家は配偶者、現金は長男、有価証券は長女など、財産を相続人に現物で分配する方法。
- メリット:財産の現物をそのまま残すことができる
- デメリット:法定相続分の配分通りにはいかないので、もめる場合がある
共有分割
財産の一部、あるいは全部を相続人全員で共有で所有する方法。
- メリット:相続が偏らず、平等である
- デメリット:個人の自由度が低く、新たな相続が発生した時に利害関係が複雑になる
換価分割
不動産などの分けられない財産は売却し、換金してから分割する方法。
- メリット:現金が手に入る。現物支給で偏りが生じた場合の補填をすることも可能
- デメリット:売却の手間や費用、税金がかかる
代償分割
相続人の誰か1人が家などの現物を所有し、ほかの相続人には、相続分の差額を現金で支払う方法。
- メリット:不動産や事業用資産が多い場合に適している
- デメリット:差額分を支払う現金が必要。税金がかかることもある
いずれの分割方法にしても、相続財産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成する必要があります。
決まったフォーマットなどはありませんが、協議の参加者全員が同意していることを証明するために、全員の住所と署名、押印されていることが大切です。
遺産分割協議の結果を書面にまとめたものが遺産分割協議書です。遺産分割協議書は、故人の預金を移す際や不動産登記をおこなう際など、被相続人の遺産を誰に引き渡すのかを証明する書類として用いられます。遺産分割協議書には相続人全員の同意が必要です。また、遺言が残っている場合など相続人が相続の内容に合意している場合は遺産分割協議書が不要となる場合もあります。
相続財産調査の目的2 相続税申告
もうひとつ、相続財産調査の大きな目的は相続税の申告の際に必要になるからです。相続人が決定し、相続財産が確定し、分配方法が決まったら、相続税の申告をし、納税しなければなりません。
相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた額が、相続税の課税対象になる課税遺産総額になります。
相続税を申告しなければならないのは、基礎控除額を超えていた場合のみです。したがって、「相続税を申告する必要があるのかどうか」を判断するためにも、相続財産調査は必要となります。
課税遺産総額の算出方法
相続財産-基礎控除額[3,000万円+(600万円×法定相続人)]=課税遺産総額
例えば故人(被相続人)の相続財産が5,000万円で、相続人は配偶者、子供3人だった場合を考えてみます。
課税遺産総額(一例)
相続財産 5,000万円-基礎控除額[3,000万円+(600万円×4)]=▲400万円
上記の場合、相続財産は基礎控除額を超えないので、相続税は課税されないので、相続税の申告の必要もありません。
相続財産調査の期限
相続財産の調査については、いつまでに必ずやらなければいけないという決まりはありません。
しかし、相続放棄をする場合は3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。相続財産の調査はそれまでに終えているほうが望ましいでしょう。
例えば相続財産の調査をした結果、多額の借金があることが判明した場合であっても、相続開始から3ヵ月の熟慮期間が経過していた場合、相続放棄をすることはできず、マイナスの財産をそのまま相続人が相続しなければならなくなります。
また、もし被相続人には借金などないと確信できる場合でも、相続税の申告にも期限があります。相続税の申告は故人が亡くなったことを知ってから、10ヵ月以内に住所地の税務署に申告し、納税する必要があります。遅れた場合は延滞税などを支払わなければならなくなります。
これらの期限に間に合うように、相続財産の調査をおこなう必要があります。
相続にまつわる期限
- 相続放棄は、故人が亡くなったことを知ってから3ヵ月以内
- 相続税の申告は、故人が亡くなったことを知ってから10ヵ月以内
以上のことから、相続財産調査については、もし借金が発覚した時のことを考えて、3ヵ月以内にすませておくのが妥当だといえます。
相続財産とは
ここからは、相続財産には具体的にはどんなものがあるのか、ご紹介します。貨幣価値のある相続財産は、一般的にプラスの相続財産と呼ばれます。反対に相続財産を算出する際に、被相続人の抱える負債や債務など、プラスの財産から差し引かれるマイナスの財産もあります。
プラスの相続財産
以下のようなものが、プラスの相続財産に該当します。
プラスの相続財産(一例)
- 現金、預貯金
- 有価証券(株券、小切手、国債など)
- 不動産(土地、建物、借家権、借地権など)
- 自動車
- 家財道具一式
- 収集品(宝石、貴金属、骨董品など)
- 著作権
- 工業所有権(特許権、商標権など)
マイナスの相続財産
以下のようなものが、マイナスの相続財産に該当します。
マイナスの財産(一例)
- 借金
- 保障債務(連帯保証人など)
- 借入金(住宅ローン、車のローンなど)
- 未払いの税金
- 未払いの医療費
- クレジットカードの未払い分
- 損害賠償の支払い など
このほか、被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合など、その地位も相続人が承継することになるので、注意が必要です。
相続財産の調査方法
故人がどのような財産を所有しているか、おおまかに把握していれば良いのですが、一緒に住んでいなかった場合など、まったく見当がつかないケースもあります。その場合、上記のプラスの財産とマイナスの財産を地道に探していかなければなりません。
自宅などを捜索し、銀行などの金融機関のキャッシュカードや保険会社からの契約書、証券会社からの手紙などを見つけたら、それぞれの関係機関で調査をします。
金融機関の預貯金の調査方法
金融機関の口座を特定する
まずは預金通帳などが入っていそうな場所を捜索します。
見つからない場合は、金融機関から届いた郵便物、ティッシュや文房具などといったノベルティなどを手掛かりとします。最寄りの金融機関まで足を運び、口座を開設していないか調べる方法もあります。
インターネットバンクを開設している場合は、通帳などを発行していないことも多いので、メールなどを細かく見ることが大切です。
また、まったく手掛かりがない場合など、専門家に依頼して、各金融機関で照会をかけてもらうこともできます。
残高証明書を発行してもらう
金融機関の口座が特定できたら、窓口で残高証明書の発行を依頼します。普通預金・定期預金・投資信託などの残高や利用状況を把握することができます。
生命保険の調査方法
生命保険の加入の有無を調べる
保険証券や保険会社からの郵送物、確定申告書類の生命保険料控除欄、銀行口座に保険料の引き落としがないかなどを調べて、生命保険に入っているかどうかを確認します。
生命保険の契約内容の確認
保険会社に問い合わせをして、契約内容の確認をします。故人(被相続人)の保険金が下りるのであれば、受け取りの手続きをします。
そのほかの保険に関しても、契約者を変えて引き継ぐのか、解約するのか判断する必要があります。
貸金庫の調査方法
貸金庫の有無を調べる
貸金庫に関する書類やカードがないか調べ、通帳の明細欄に貸金庫の文字はないかなどを調べます。
もし貸金庫の存在を知っていた場合、預貯金の確認よりもまず先にやるべきことは貸金庫の中身の確認です。故人(被相続人)が亡くなったことが金融機関側に分かると、即座に口座が凍結されますが、この時に貸金庫も凍結されてしまうのです。
貸金庫が一度凍結されてしまうと、解除するためには必要書類も多く、手間も時間も掛かってしまいます。貸金庫には、遺言書や不動産の登記識別情報など、相続の際に非常に重要なものが入っていることも多く、相続を滞りなくおこなうためにも、凍結される前に書類を確認できた方が良いのです。
貸金庫の中身を出す
故人(被相続人)の契約していた貸金庫がまだ凍結されていなかった場合、貸金庫の中身を出しておきましょう。
凍結されてしまった場合は、凍結を解除してから、相続人全員が立ち合いのもと、貸金庫を開けて、中身を出します。
株・FX・国債の調査方法
書類、証券、残高通知、取引案内などを探す
故人(被相続人)の自宅などを捜索し、株式やFX、国債に関する書類(口座開設や事業を紹介する資料など)がないか探します。
国債であれば証券、FXや株式などであれば残高通知や取引案内などが届いているはずです。
古い株券が見つかった場合も、有効な場合もあるので、株式を保有する会社に連絡をして、株主であるか確認します。
なお、手掛かりが見つからない場合は、上場株式などの名義変更を一手に引き受けている証券保管振替機構に問い合わせをしましょう。
証券保管振替機構で登録済加入者情報の開示請求をすれば、口座の開設先を把握することができます。
証券会社や信託銀行を確認する
書類などが見つかったら、該当する機関に問い合わせをして、残高証明書を発行してもらいます。
不動産の調査方法
固定資産税の納税通知書、登記識別情報(登記済権利証)を探す
固定資産税の納税通知書(課税明細書、課税納付書と書かれている場合もあります)や登記識別情報(登記識別情報通知、登記済権利書)を探します。
通知書などを見つけた場合は、固定資産税が課税されている不動産の地番や家屋番号を確認します。地番や家屋番号とは、住所とは異なり、法務局がその土地や建物を識別するために、割り振った番号です。
なお、課税対象にならない私道やお墓などを所有している場合は、納税通知書には記載されていません。その場合、登記識別情報で確認することが重要です。
不動産の所在が明らかで、地番や家屋番号が分かれば、法務局で登記簿謄本(登記時効証明書)を取得します。
市区町村役場で、名寄帳を申請
以下のようなケースの方は、名寄帳を申請する必要があります。
- 固定資産税の納税通知書が見つからない
- 非課税になっている私道や墓地などを把握したい
- 複数で共有している不動産がある
固定資産税の支払先になっている市区町村の役場に行き、名寄帳(固定資産課税台帳、土地家屋課税台帳などとも呼ばれる)を発行してもらいます。
名寄帳には、固定資産税の課税対象になっている不動産のほか、非課税不動産である私道や墓地も掲載されているので、所有している土地や家屋の地番や家屋番号も一気に把握できます。
1人で所有しているものと複数で所有しているものは別に管理されているので、個人名義だけでなく、共有名義の名寄帳も取り寄せた方が確実です。
法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得
不動産の地番や家屋番号が分かれば、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。
登記簿には、過去から現在にわたる不動産の名義や、どんな担保に入れられているのかなど、詳しく書かれています。
マイナス財産の調査方法
借金の有無を調べる
請求書や督促状、銀行の引き落とし、不動産の登記簿に担保に入れた形跡はないかなどを調べます。
見当がつかない場合は、以下のような信用情報機関に借金の状況を開示するよう請求することもできます。
開示手続きができる信用情報機関
- 消費者金融系:株式会社日本信用情報機構(通称:JICC)
- クレジット会社系:株式会社シー・アイ・シー(通称:CIC)
- 銀行系:一般社団法人全国銀行協会(通称:全銀協)
借入先ごとに手続きをする
マイナス財産については、一度に済ませる手段はありません。
各金融業者に、故人(被相続人)の死亡日付の借入金残高証明書を請求し、借入額を確定します。
この時、相続放棄する場合もあるので、借入先に返済の約束はしてはいけません。「遺産の調査をしている」とだけ伝えて、返済の約束などはしないほうが賢明です。
住宅ローンに関しては、団体信用生命保険(団信)に問い合わせをすれば、ローンを完済できる可能性もあります。
相続財産の調査をおこなわないとどうなる?
ここまでお伝えしてきたように、相続財産調査には、お金も手間もかかります。
しかしながら、相続財産の調査をおこなわないまま無視していると、ある日突然リスクに直面することになりかねません。ここでは相続財産の調査をおこなわない場合に起こりうるリスクの一部をご紹介します。
意図せず税金を滞納してしまう可能性がある
相続財産調査を怠ることで、相続税の申告を間違って申告してしまう危険があります。
例えば税金を少なく申告した場合は過少申告課税を、申告期限を過ぎてしまっていた場合は無申告加算、さらに延滞日数に応じて延滞税を収めなければならないケースも出てきます。
正しく申告していなかったばかりに、ペナルティを支払う必要が出てきてしまうのです。
借金の返済請求が届く可能性がある
またマイナスの相続財産の調査を怠ると、あとになって借金の返済請求が届くこともあります。
相続放棄には3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならないという期限があり、期限を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなってしまいます。
また何かプラスの遺産を相続した場合も、相続をするという意思を表明したことになるので、マイナスの遺産の方が多いことが分かっても、すべての相続財産を負う、単純相続とみなされ、相続放棄できなくなってしまいます。
単純相続とは、すべての財産を相続することです。期間内にほかの2つの手続きをしない、単純相続をしたと判断される行為をする、のどちらかで選択したことになります。
限定承認とは、相続したプラスの財産の範囲でマイナスの財産も相続します。選択するには相続人全員の同意が必要です。
相続放棄、または限定承認をおこなう場合は、相続の発生を知った時点から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。なお、申述までの期限が3ヵ月以内のため、相続放棄や限定承認が認められるまでに、3ヵ月の期限を越えることもあります。
相続財産の調査の実践方法
では実際に、相続財産の調査をどのように進めるのか、簡単におさらいしましょう。
相続財産調査ステップ①被相続人の自宅捜索
まずは故人(被相続人)の自宅を捜索して、相続財産の資料になりそうなものを探します。
金融機関の通帳や株券、また家や土地を所有している場合は、登記済みの権利証や固定資産税の納税通知書などを探します。
相続財産調査の手掛かりになるもの
- 預金通帳、キャッシュカード、金融機関のノベルティ(ティッシュ、文房具など)
- 株券、金融機関からの郵便物
- 権利証、登記簿謄本、売買契約書、納税通知書
- 借用書、請求書
- 確定申告の控え
相続財産調査ステップ②調査への必要書類を揃える
自宅の捜索が終わり、調査の手掛かりになるものを集めたら、あとは上記でご紹介したように、1つ1つを関連機関に問い合わせて、詳細を調べるために必要書類を揃えます。
銀行や役場で書類を集めるためには、故人(被相続人)と自分の関係性を明確にするための書類などを用意しなければならないケースもあります。
相続財産調査の際に、必要になってくる書類をご紹介します。
相続財産調査のために必要な書類一式
- 故人(被相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本
- 調査する相続人と故人(被相続人)の関係がわかる戸籍謄本
- 調査する相続人の身分証明書(運転免許証や保険証など)
※戸籍謄本の代わりに、法務局で取得できる「法定相続情報」でも問題はありません。
ちなみに、故人(被相続人)の配偶者(夫や妻)、または子が調査をする場合は、調査する相続人の現在の戸籍謄本1通ですむ場合がほとんどです。
相続財産調査ステップ③各機関へ調査依頼
必要書類を揃えたら、それぞれの機関に調査依頼をします。
銀行口座があればその銀行に、生命保険に加入していることが分かれば、そこの保険会社へ、とそれぞれ窓口が異なります。窓口が多いほど大変にはなってきますが、1つずつ調べていきます。
相続財産の調査の依頼先
ここまでご紹介してきたように、相続財産の調査は一筋縄ではいかず、かなり地道な調査が必要になってきます。実際に、始めは自分でやろうと思ったものの、途中で断念してしまう人も多いようです。
相続財産調査は、税理士や行政書士、司法書士、弁護士など専門家の力を借りることで、一気にその手間を省くことができます。専門家に依頼することによって相続財産の抜けや漏れもなく、その後の相続税申告の相談などもできます。
なお、いずれの専門家に依頼する場合でも、相続について取り扱いが多く、経験が豊富で慣れている方に頼んだ方が心強いので、依頼する前にきちんと確認しておきましょう。同じ士業の専門家でもそれぞれ得意分野が異なるので注意が必要です。
税理士
相続財産の調査から相続税の申告までお願いしたい場合は、税理士に頼むのが良いでしょう。ただし、これまでご紹介してきたように、相続税が課税されるほどの相続財産がなければ、相続税の申告は必要ありません。
行政書士
行政書士には、戸籍の収集や遺産分割協議書などに必要な書類作成、金融機関の名義変更や解約、株券の名義変更など、相続にまつわる書類作成などをお願いしたい時に頼りになる専門家です。
書類集めや資料作成などの業務だけを行政書士に依頼して、あとの登記などは自分でやるなどすると、費用を抑えることができます。
なお、トラブルに介入することはできません。
司法書士
相続財産に不動産がある場合、不動産の名義変更などは司法書士に依頼しましょう。
司法書士は、登記手続きの専門家です。相続財産調査もある程度できるうえ、書類作成は非常に得意です。
相続放棄などの手続きも請け負ってもらえますが、トラブルに発展しそうな場合は、司法書士は介入できません。
弁護士
弁護士は、相続財産調査だけでなく、不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成などの手続きを依頼できるだけでなく、相続争いに発展した際にも、介入して解決することができます。
専門家の費用相場
では、実際に、相続財産調査を専門家に依頼した場合、どれくらいの費用が掛かるのでしょか。
税理士や行政書士、司法書士、弁護士と、それぞれ得意分野は異なりますが、相続財産調査の費用で考えると、約20~30万円ほどが費用の目安になります。
こちらの金額はあくまでも目安ですので、専門家によって費用は大きくことなります。報酬制を取っている専門家の場合は、相続財産の総額によって、費用も変わってきます。
また、もめごとに発展した場合は弁護士に依頼することになり、解決までに時間がかかるだけでなく、着手金10万円~30万円+経済的利益の10%と費用もかさむことになります。依頼する前に費用についてもご確認ください。
財産目録の作成
相続財産調査が終わったら、その内容をまとめた財産目録を作成しましょう。財産目録を作成することによって、相続財産や評価額の詳細が明らかになり、遺産分割協議でのトラブルを防止することができます。
また、相続税申告でも財産目録が必要になります。そういった意味でも、財産目録を作成しておくことは大切です。
財産目録に決まった形式はありませんので、相続人が自由に作成して構いません。作成の際には不動産や金融資産、その他の権利などのプラスの財産と負債などのマイナスの財産の調査結果を反映させて評価額を算出します。
財産目録には固定資産評価証明書や残高証明書などをあわせて添付しておくと安心です。もし財産目録の作成に関して不安があれば、行政書士などに依頼することもできます。
相続財産調査のよくある質問
相続財産調査についてよく聞かれる質問を集めました。
相続財産調査とは何ですか?
相続が発生した際に、故人の遺産がどのくらいあるのか、被相続人の残した相続財産を調べる調査のことです。法定相続人の相続分を算出するために、相続財産が全体でどのくらいあるのか調査する必要があります。
相続財産調査は、いつまでにやれば良いですか?
相続財産調査はいつまでに必ずやらなければいけないわけではありません。しかし、相続放棄をする場合は3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。相続放棄をしなくても相続税申告の期限までには余裕をもって終わらせましょう。
相続財産調査を正しくやらないとどうなりますか?
相続財産をきちんと把握できていないと後から大きな資産が見つかって相続税の申告漏れになったり、反対に大きな負債が見つかっても相続放棄が間に合わないことがあります。
まとめ
相続財産調査については、一度にすべての財産を把握する方法はなく、1つずつ調べていかなければならないので、骨の折れる作業です。
しかし、相続財産調査を省くわけにはいきません。ここでしっかりと調査しておくことが後々、もめごとなどに発展しないためにも大切なのです。
個人で相続財産調査をするのが難しい場合、専門家に依頼することもできます。しかし依頼の際には、相続を得意としている方を探すことが重要です。
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